鼻出血
鼻出血とは?原因・治療・対処法を耳鼻咽喉科専門医が解説
鼻出血の部位
鼻出血の約8割は、鼻の入り口から1〜2cmほど奥にあるキーゼルバッハ部位という場所から出血します。この部位は毛細血管が密集しており、鼻を強くかんだり、こすったり、乾燥するだけでも傷つきやすいのが特徴です。特に冬場や空気が乾燥した環境では、粘膜がひび割れやすく、軽い刺激でも出血しやすくなります。残りの鼻出血の2割は鼻腔の後方からの出血(後方出血)や情報からの出血で止血に難渋することがあります。
鼻出血の原因
鼻出血にはさまざまな原因があります。鼻出血の中で最も多いのは、原因が特定できない特発性鼻出血です。局所的要因や全身的要因が関与しているものも少なくないです。複合的に関与している場合もあります。
全身的要因
高血圧
血圧が高い方では、血管に常に高い圧がかかっているため、血管がもろくなります。そのため、鼻出血が起こりやすくなります。
血液疾患
血液の成分の中の血小板は血を止める作用があります。血小板が低下すると、鼻出血が起こりやすくなります。
肝臓疾患
肝臓では血液を固める作用のある凝固因子が作られます。肝硬変などの肝臓疾患の方では、凝固因子がしっかりと作れないため、鼻出血が止まりにくくなります。
抗凝固薬・抗血小板薬の服薬
心筋梗塞・心房細動などの不整脈・脳梗塞の持病を持っている方は血液が固まりやすくなると、血栓ができやすくなるため、抗凝固薬や抗血小板薬の服用が必要となることがあります。そのような方は血が止まりにくくなり、鼻出血が起こりやすくなります。
局所的要因
環境要因(乾燥、冬場)
形態学的要因
炎症・アレルギー
外傷
腫瘍
鼻の中に鼻副鼻腔腫瘍ができると鼻出血の原因となることがあります。
医原性
自宅でできる正しい対処法
鼻出血時の正しい姿勢
鼻出血の応急処置としてもっとも大切なのは姿勢です。多くの方が上を向いてしまいますが、これは誤りで、血液がのどに流れ込み気分が悪くなったり吐いてしまう元となります。正しい姿勢は以下です。
- 椅子に座り、軽く下を向く
- 鼻の柔らかい部分(小鼻)をつまむ
- 20-30分程度、しっかり圧迫する
これだけで多くの鼻出血は止まります。
ティッシュペーパーや脱脂綿を鼻に入れることは、あまりお勧めできません。粘膜を傷つけたり、鼻の奥に入ってしまうと自力で取れなくなってしまうからです。
具体的な処置方法は日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のYoutubeを参照ください。
鼻出血時の注意点
ティッシュを鼻に詰める方が多いですが、小さくなったティッシュが鼻に残ってしまい自分では取り出せなくなることも控えましょう。鼻を強くかんだり、いじったりすると止まりかけた血管が再び破れやすいため避けましょう。入浴や飲酒は血流を増やし出血を誘発するため、出血後しばらくは控えることが望ましいです。
鼻出血の検査
出血部位の確認
鼻鏡・内視鏡検査(嗅裂部・鼻咽腔・副鼻腔入口部ファイバースコピー)で出血部位を探します。鼻出血の約8割は前方からの出血で、多くが鼻中隔からの出血(キーゼルバッハ部位)であるため、出血部位が見つかると止血処置を行います。診察時に鼻出血がおさまっていると、出血部位がはっきりとわからない場合があります。
血液検査
血液中の血液をかたまる働きが正常に機能しているかを血液検査で行います。
鼻出血に対する治療
キーゼルバッハ部位からの軽度出血であれば、圧迫出血を行います。
明らかな露出血管や出血があれば、局所麻酔液を浸したガーゼを挿入したのちにバイポーラーにて焼灼します。焼灼とは、出血している血管を電気で処理し、再出血を防ぐ治療です。
後方出血に対する高度な治療
後方出血では以下のような治療が必要となることがあります。
- パッキング(タンポン):鼻の奥にガーゼを挿入して圧迫止血
- 蝶口蓋動脈結紮手術(当院では施行していません)
特に、蝶口蓋動脈手術は再発を繰り返す出血に対して非常に有効で、全身状態によっては入院が必要になる場合もあります。
抗凝固薬・抗血栓薬使用中の注意点
抗凝固薬(ワルファリン等)や抗血栓薬(バイアスピリン等)を使用している患者さんでは止血が難しい場合があります。薬剤の中断が必要かどうかは、脳梗塞・心筋梗塞などのリスクを考慮し、主治医と連携して判断します。自己判断で薬を中止することは非常に危険です。
鼻出血を繰り返す場合の予防
鼻粘膜の乾燥対策とケア
鼻粘膜の乾燥は再出血の大きな原因です。以下の対策を行うと予防に効果があります。
- 室内加湿(湿度50〜60%)
- ワセリンなどの保湿剤で鼻の入り口を保護
- マスク着用による加湿効果
- 強く鼻をかまない
粘膜を保湿するだけで、再出血の頻度が大きく減る方が多くみられます。
アレルギー性鼻炎と鼻出血
くしゃみ・鼻漏・鼻をかむ動作が多いアレルギー性鼻炎は再発の大きな要因です。必要に応じて以下の治療を行うことで、鼻出血の頻度を減らすことが期待できます。
- 抗アレルギー薬
- ステロイド点鼻薬
アレルギーコントロールは鼻出血予防につながるため、耳鼻科での継続的な治療が重要です。
早めの受診が必要な鼻出血
以下のような場合は早めの耳鼻咽喉科受診をおすすめします。
- 30分以上出血が続く
- 頻繁に繰り返す
- 抗凝固薬・抗血栓薬を使用している
- 鼻、顔を強くうった
- 鼻からの出血がのどに、どんどん流れてくる
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会においても、鼻出血の原因、正しい止め方、医療機関の受診が必要な鼻出血として情報提供がされています。
きたむら耳鼻咽喉科クリニックは堺市東区、南海高野線初芝駅から徒歩2分の好立地、モール共用の駐車場、駐輪場を完備しています。
