難治性中耳炎
難治性中耳炎とは
中耳炎は、適切な抗菌薬治療、鼓膜切開、鼓膜換気チューブ留置術などによって、多くの場合は改善します。よく使われるペニシリン系、セフェム系、キノロン系の内服薬、点耳薬に耐性のある細菌が起炎菌である場合には、治療に難渋します。しかし、なかなか治らなかったり、短期間でぶり返したりする中耳炎では、特殊な中耳炎であることがあり、難治性中耳炎として専門的な対応が必要となります。
難治性中耳炎で想起すべき疾患
小児では、、、
小児の耐性菌による中耳炎(MRSA、MRCNS、MDRP)
小児では、通常の抗生剤が効きにくいMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、MRCNS(メチシリン耐性凝固酵素陰性ブドウ球菌)、MDRP(多剤耐性緑膿菌)が原因となる中耳炎が問題になります。
耐性菌による中耳炎は以下の特徴があります。
- 耳漏が長期間続く
- 抗生剤の種類を変更したり、量を増やしても改善しない
- 感受性のある抗生剤がかなり限られている
園児や低学年児は鼻炎を繰り返しやすく、耳管が短く、水平であるという解剖学的な要因があります。そのため、細菌が中耳に入りやすいことも難治化の理由です。
当院では、耳漏もしくは粘性の鼻汁を採取し、細菌培養検査を行います。起因菌を特定し、感受性(細菌がどの抗生剤に効きやすいのか、効きにくいのか)を調べます。その結果をふまえ、適切な抗菌薬を選択し、治療します。
小児の癒着性中耳炎
耳管機能などが原因で、中耳腔が長期間陰圧になると、鼓膜の内側が中耳腔に張りついてしまう癒着性中耳炎を起こすことがあります。
特徴は
- 鼓膜が強く内側に引き込まれる
- 音を伝える耳小骨の動きが悪くなり、難聴が進む
- 中耳換気が極端に悪くなる
- 断続的に耳漏が続く
上記のような特徴があり、自然治癒しにくく、放置すると真珠腫性中耳炎へ進展する可能性もあり、小児期での早期診断が特に重要です。
成人では、、、
ANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)
成人の難治性中耳炎で特に重要なのが、ANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)です。
・通常の抗生剤投与、鼓膜切開術、鼓膜(換気、排液)チューブ留置術などの治療では改善しない中耳炎
・急速に進行する難聴
・全身性のANCA関連血管炎に移行したり、顔面神経麻痺、肥厚性硬膜炎などの合併症を併発することがある
などの症状があります。
ANCA(MPO-ANCA、PR3-ANCA)が陽性となる場合が多く、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤の治療が必要になるため、早期診断、早期治療が重要です。
好酸球性中耳炎
好酸球性中耳炎は気管支喘息をもつ成人に多く、粘り気の強い黄色の分泌液が特徴的です。難治性でステロイド点耳や全身治療が必要となり、好酸球性副鼻腔炎を合併しやすい病態です。適切な治療を行わないと高度難聴に進行することもあります。
結核性中耳炎
非常にまれですが、成人では通常の抗生剤投与で改善しない中耳炎では、想起すべき疾患です。
特徴は
- 痛みが少ないのに耳漏だけが持続
- 鼓膜に多発する小さな穿孔
- 通常の抗生剤が効かない
という点です。
診断には結核菌PCR検査や培養が必要となり、適切な抗結核薬治療によって改善します。
中耳コレステリン肉芽腫
耳管機能不全が背景を背景とする原発性と慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎などの中耳炎に併発する続発性があります。治療は手術(鼓室開放術、乳突削開術)が選択されることがあります。
悪性外耳道炎(頭蓋底骨髄炎)
糖尿病や高齢者に多い重症感染症です。外耳道から感染が進行して頭蓋底骨髄炎を起こす非常に危険な病態です。
症状は
- 強い耳痛
- 耳漏
- 下位脳神経麻痺(顔面神経麻痺など)
が特徴です。
緑膿菌(特に耐性菌を含む)や真菌が起因となることが多く、長期間の抗菌薬治療が必要となります。
きたむら耳鼻咽喉科クリニックは堺市東区、南海高野線初芝駅から徒歩2分の好立地、モール共用の駐車場、駐輪場を完備しています。
