舌痛症
舌痛症とは
舌痛症は、舌に「ヒリヒリする」「焼けるような感じ」「しみる感じ」などの痛みや不快感が続く病気です。腫瘍性病変や歯がつねにあたっているなどの刺激がないにも関わらず、慢性的な痛みが出ることが特徴です。
舌痛症の概要
舌の痛みが続く状態を指す病気です。器質的(見た目の異常による)な原因が明確ではなく、神経の過敏化、ストレス、ホルモンバランスの乱れが関係すると考えられています。また、舌痛症の患者さんでは味覚障害を伴うことがあり、味覚を感じる神経の機能低下が関連する場合もあります。
舌痛症と似た症状との違い
口内炎や感染症とは異なります。舌の痛みという点では口内炎やカンジダ症(真菌感染)と似ていますが、舌痛症は見た目に明らかな異常がほとんど見られません。耳鼻咽喉科では、口腔内の観察や培養検査などを行い、口内炎・カンジダ症・貧血・ビタミン不足などの他の疾患を除外したうえで診断します。
舌痛症の原因
神経の過敏化
痛みを感じる神経が敏感になることで症状が出ます。舌の表面には味覚を感じる味蕾(みらい)や痛みを感じる神経が密集しています。ストレスやホルモン変化などにより、これらの神経が過敏になることで、刺激がないのに痛みを感じることがあります。
口腔乾燥(ドライマウス)
唾液の不足が舌のヒリつきを悪化させます。ドライマウスになると舌表面の保護機能が弱まり、刺激が直接伝わるようになります。唾液分泌の低下は、加齢、薬剤(抗うつ薬・降圧薬など)、ストレスが原因で起こります。
ビタミン不足・貧血・亜鉛不足
舌と味覚神経の働きが弱くなることがあります。ビタミンB群(特にB12)、鉄分、亜鉛は舌の上皮や味覚神経の働きに重要です。不足すると、舌の痛み・味覚障害をきたしやすく、舌痛症の症状が増悪することがあります。
舌痛症の主な症状
舌の痛みの特徴
ヒリヒリ・焼けるような痛みが続く。
- 焼けるような灼熱感
- ピリピリした痛み
- 何もしていないのに感じる持続痛
食事のときに軽くなる方もいれば、逆に刺激物で悪化する人もいます。
味覚障害を伴うことがあります
味を感じにくい、しょっぱく感じる、苦味を感じやすいなど、味覚の違和感は舌痛症と非常に関連が深く、味覚神経の機能が低下すると、痛みの神経が相対的に過敏になり、痛みを強く感じることがあります。
不安感・ストレスによる悪化
心身の変化が痛みに影響します。ストレスや睡眠不足が続くと、痛みを感じる閾値(痛みを感じはじめる強さ)が低下し、症状が悪化します。舌痛症は心身相関が非常に強い疾患として知られています。
舌痛症の診断
舌の状態・唾液量・味覚のチェックを行います。診察では、以下を確認します。
- 舌の表面の炎症や傷の有無
- 唾液の分泌量
- 味覚検査(味を感じる能力の検査)
- 口腔内カンジダの有無
- 貧血やビタミン不足の血液検査
他の病気との鑑別
カンジダ症・口内炎などを除外します。舌痛症は「除外診断」といわれ、明らかな原因がある場合は舌痛症とは呼びません。特に以下を慎重に区別します。
- カンジダ症(白い苔状の付着)
- アフタ性口内炎
- 帯状疱疹後神経痛
- 全身疾患による舌の変化(鉄欠乏性貧血など)
- 舌の腫瘍
舌痛症の治療
内服治療
神経の過敏を抑える薬・不足栄養素の補充を行います。
- ビタミンB群・亜鉛製剤:舌の上皮や味覚神経の正常化を助けます。
- 抗うつ薬・抗不安薬の少量投与:舌の痛みを感じる神経の過敏を抑えます(鎮痛目的で少量を使用)。依存性のある薬剤は避け、必要最小限に調整します。
漢方治療
体質を整え、痛みや不安を和らげます。舌痛症はストレスや自律神経の乱れが関係するため、漢方薬が有効なことがあります。よく使われる処方は以下です。
- 半夏厚朴湯 (はんげこうぼくとう):不安感・喉の違和感に
- 加味逍遙散 (かみしょうようさん):ストレス・ホルモン変化に
- 当帰芍薬散 (とうきしゃくやくさん):冷えや血流低下による痛みに
漢方は体質に合わせて選ぶため、診察の上で処方が決まります。
生活改善・セルフケア
乾燥予防とストレス管理が重要です。
- 口腔乾燥を防ぐためにこまめな水分補給
- 刺激物(唐辛子・熱い飲み物)は控える
- ガムや飴の過剰摂取は舌をこするため悪化
- 十分な睡眠とストレス軽減
痛みが気になるとさらに意識しやすくなるため、注意を向けすぎないことも大切です。
舌痛症は治るのか?
経過はゆっくり改善することが多い
数週間~数ヶ月で症状が和らぐケースが多いです。舌痛症は急激に治るというより、治療や生活改善を続けながら少しずつ軽快することが多い病気です。適切に対処することで症状をコントロールできます。
まとめ
舌痛症のポイント
専門診療で正しい診断と治療を行いましょう。
- 見た目の異常が少なくても痛みが続く
- 味覚障害を伴うことがある
- 神経過敏、ストレス、乾燥、栄養不足が原因
- 漢方薬を含む複数の治療法がある
- 耳鼻咽喉科での鑑別診断が重要
舌の痛みが長く続く場合、放置せず専門医へご相談ください。
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