耳鳴り
耳鳴り(耳鳴)とは?
耳鳴りとは、周囲が静寂な状態でも、実際には存在しない音を自覚する症状です。「キーン」「ジー」「ザーザー」など音の感じ方はさまざまで、日常生活や睡眠に支障をきたすことも少なくありません。慢性的に耳鳴りがする方は人口の10-15%と言われており、苦痛の強い耳鳴は人口の2-3%ととも言われています。ここでは、耳鳴りの定義から原因、検査、治療までを体系的に解説します。
耳鳴りの定義と種類
耳鳴りの定義
耳鳴診療ガイドライン2019年版(日本聴覚医学会)では、耳鳴りは音源が存在しないにもかかわらず音を感じる状態と定義しています。多くの場合、周囲が静寂になると症状を強く自覚します。
自覚的耳鳴、他覚的耳鳴
耳鳴りは大きく2つに分類されます。
自覚的耳鳴
自覚的耳鳴は本人にしか聞こえない耳鳴りで、耳鳴りの大多数を占めます。
他覚的耳鳴
他覚的耳鳴は周囲の人にも聴取できる耳鳴です。
耳あるいはその周囲の筋肉の収縮で起こる耳鳴は筋性耳鳴で、耳周囲の血流に関連して起こる耳鳴は拍動性耳鳴と呼ばれています。
無難聴性耳鳴:聴力は正常なのに耳鳴りがする
「聴力検査では異常なしと言われたのに、キーンという音が消えない」。聴力は正常なのに耳鳴りがする場合があり、これは無難聴性耳鳴と呼ばれています。
ストレスによる自律神経の乱れが深く関与していたり、精神的な問題で脳の変調をきたしていることが一因と考えられています。
注意すべき耳鳴、拍動性耳鳴
他覚的耳鳴のなかでも、「ドクドク」「ザーッ」と脈拍に一致して聞こえる耳鳴りを拍動性耳鳴と呼びます。
拍動性耳鳴の原因には下記の3種類があります。
血管の異常:硬膜動静脈瘻、動脈硬化、血管の蛇行などの走行異常
血管性の腫瘍:グロムス腫瘍(鼓室型・頸静脈型)
全身性の要因:貧血、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)、高血圧
拍動性耳鳴は耳鳴りそのものに対してではなく、原因となっている病気(血管の異常や血管性の腫瘍など)の精査、治療が必要となる場合があります。様子を見ずに精査することをお勧めいたします。
耳鳴りの主な原因と背景
耳鳴りを感じている方の多くの方に、何らかの難聴(聞こえの低下)が隠れていることが分かっています。
耳鳴りの正体は、脳が頑張って音を聞こうとする代償反応
通常、私たちの耳(内耳の蝸牛)で集められた音は、「電気信号」に変換されて、聴神経を通って脳に届けられます。
脳がその信号を受け取ることで、私たちは初めて「音が聞こえた」と認識します。しかし、難聴によって耳の機能が低下すると、脳に届く電気信号の量が減ってしまいます。
すると脳は、「音が来ないぞ?もっと感度を上げて音を拾わなきゃ!」と判断し、電気信号を受け取る感度(ボリューム)を勝手に上げてしまいます。
その結果、本来は鳴っていない微弱な電気ノイズまでも増幅して拾ってしまい、それを「キーン」「ジー」という音として認識してしまうのです。
つまり耳鳴りは、聞こえにくくなった耳を補おうとして、脳が必死に活動している代償(埋め合わせ)の反応だと言えます。
代表的な耳鳴りを伴う難聴の疾患は、突発性難聴、老年性難聴(加齢性難聴)、騒音性難聴、ムンプス難聴、慢性穿孔性中耳炎などです。
耳鳴りの検査
標準純音聴力検査
聴力検査を行い、聞こえを評価します。
耳鳴苦痛度問診票(THI)
耳鳴りが日常生活にどの程度支障をきたしているかを客観的に評価するための指標です。耳鳴診療Q&A(日本聴覚医学会編)においてもこの評価法が勧められています。
MRI検査
拍動性耳鳴、聴力検査にて聞こえに左右差がある場合、症状が強い場合には、MRI検査を行い、血管奇形や血管周囲の病変、聴神経腫瘍などの病気などを精査することができます。
当院よりメディカルスクエア初芝駅前のばば脳神経外科・救急・健診クリニックに検査を依頼します。まずはきたむら耳鼻咽喉科クリニックを受診して下さい。
耳鳴りの治療
一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、耳鳴治療の基本的な考え方として、「耳鳴りそのものを完全に消失させること」よりも「耳鳴りによる苦痛や生活への支障を軽減すること」を治療目標とする重要性が示されています。
この考え方に基づき、音響療法やカウンセリングを組み合わせた治療(TRT療法)や、難聴を伴う場合の補聴器活用など、患者さん一人ひとりの状態に応じた段階的な治療が推奨されています。
薬物療法
血流改善薬、ビタミン製剤、漢方薬などを症状に応じて使用します。ただし、耳鳴りを完全に消す特効薬は存在しないのが現状です。
補聴器による耳鳴り治療
難聴を伴う耳鳴りでは、補聴器の装用により、耳鳴りが軽減することがあります。外界の音が入ることで、脳が耳鳴りを過度に意識しなくなります。
TRT療法(耳鳴再訓練療法)
TRT療法(Tinnitus Retraining Therapy)は、音響療法とカウンセリングを組み合わせ、耳鳴りに慣れることを目的とした治療です。
学会の見解
一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会においても、耳そのものの異常だけでなく、脳の聴覚情報処理の変化や心理的要因が複雑に関与する症状として詳しく解説されています。
脳の「聴覚」と「感情」の領域は密接に連動しており、不安やストレスが自律神経を刺激することで、耳鳴りを増幅させる悪循環(苦痛のネットワーク)を形成してしまうことが知られています。不眠や肩こりといった心身の不調も耳鳴りを強く感じさせる要因となるため、生活全体のケアが必要です。 この負の連鎖を断ち切り、脳が音を「危険な信号」と認識しないよう、心身のバランスを整えることから始めましょう。
耳鳴りに関するよくある質問(Q&Aコーナー)
Q:耳鳴りは治りますか?
A:原因によりますが、多くの場合「完全に消す」よりも「気にならなくすること」が目標です。
Q:放置しても大丈夫ですか?
A:急な耳鳴り、片側のみ、拍動性耳鳴の場合は早期受診をおすすめします。
Q:静かな環境の方が良いですか?
A:過度な静寂は耳鳴りを強く自覚しやすいため、適度にリラックスできる環境音が有効な場合があります。
院長からの一言
耳鳴りは見た目では他人にはわからず、周囲に理解されにくい症状です。しかし、適切な検査で原因を見極め、正しい知識を持って向き合うことで、症状を大きく軽減できるケースも少なくありません。お気軽にご相談ください。
きたむら耳鼻咽喉科クリニックは堺市東区、南海高野線初芝駅から徒歩2分の好立地、モール共用の駐車場、駐輪場を完備しています。
