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甲状腺機能低下症

甲状腺とは?代謝を司る「体のアクセル」の役割


甲状腺は喉仏のすぐ下に位置し、蝶が羽を広げたような形をした臓器です。ここでは、全身の細胞に働きかける「甲状腺ホルモン」が作られています。

甲状腺ホルモンとエネルギー代謝の仕組み

甲状腺ホルモンは、一言で言えば「自動車のアクセルペダル」のような働きをしています。食事から摂った栄養をエネルギーに変え、新陳代謝を促進して体温や心拍数を一定に保つ重要な役割を担っています。このホルモンが過剰に出すぎると「アクセルを全開に踏み込んだ状態」になり、逆に不足すると「エンジンがかかりにくい状態」になります。

甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンが不足する原因

橋本病(慢性甲状腺炎)のメカニズム

甲状腺機能低下症の最も代表的な原因は、**橋本病(慢性甲状腺炎)**です。これは自己免疫疾患の一つで、本来は体を守るべき免疫系が、誤って自分自身の甲状腺を攻撃してしまうことで起こります。甲状腺に慢性の炎症が続くことで、組織が少しずつ壊れ、新陳代謝を司る「甲状腺ホルモン」を作る力が低下します。ただし、橋本病であっても初期はホルモン値が正常なことが多く、炎症が進行して初めて機能低下症として症状が現れます。

その他の原因と一時的な低下症

自己免疫以外にも原因はあります。バセドウ病の治療として放射線治療(アイソトープ)や手術を受けた後の変化、あるいは生まれつきの要因などがあります。また、出産後やウイルス感染の後に一時的に甲状腺の機能が落ちることもあります。これを一過性甲状腺機能低下症と呼びます。この場合は時間の経過とともに自然回復することが多いため、慢性的なものかどうかの正確な見極めが重要です。

見逃されやすい「なんとなくの不調」

身体に現れる主な症状

甲状腺ホルモンは「全身の代謝を上げるエネルギー」のような役割をしています。そのため、不足すると全身の活動がスローダウンします。具体的な身体症状としては、寒がりになる、顔や手足がむくむ、皮膚が乾燥する、便秘になる、といったものが挙げられます。また、心臓の動きもゆっくりになるため、脈が遅くなる(徐脈)こともあります。これらは加齢や疲れのせいだと思い込まれやすく、発見が遅れる原因となります。

精神面や代謝への影響

エネルギー不足は精神面にも影響を及ぼします。いつも眠い、やる気が出ない、記憶力が低下する、といった「うつ状態」に似た症状が現れることがあります。また、新陳代謝が悪くなるため、食事量は変わらないのに体重が増えやすくなるのも特徴です。女性の場合は月経不順や経血量の増加を伴うこともあり、婦人科的な不調だと思っていた原因が、実は甲状腺にあったというケースも少なくありません。

甲状腺の異常を正確に診断する検査

血液検査

 

診断の基本は血液検査です。甲状腺から分泌される遊離サイロキシン(FT4)と遊離トリヨードサイロニン(FT3)の値を測定します。さらに重要なのが、脳の下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)です。甲状腺がサボっていると、脳は「もっとホルモンを出せ」と命令を強く出すため、TSHの値が高くなります。FT3とFT4が低く、TSHが高い状態が確認されれば、甲状腺機能低下症と診断されます。

抗体検査による原因の特定

橋本病かどうかを特定するためには、血液中の自己抗体を調べます。代表的なものは、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体)抗サイログロブリン抗体(抗Tg抗体)です。これらの抗体が陽性であれば、自身の甲状腺を攻撃する免疫の乱れがあることを意味し、橋本病の診断につながります。

頸部超音波(エコー)検査

耳鼻咽喉科での診断において、超音波検査は非常に有用です。甲状腺の大きさや炎症の程度、内部の状態をリアルタイムで観察できます。橋本病の場合、甲状腺全体がゴツゴツと粗くなっているのが特徴的です。また、炎症の影に隠れて腫瘍ができていないか、周囲のリンパ節に腫れがないかも同時に確認します。血液検査だけではわからない「形の異常」をチェックできるのが最大のメリットです。

当院よりメディカルスクエア初芝駅前のばば脳神経外科・救急・健診クリニックに依頼します。まずはきたむら耳鼻咽喉科クリニックを受診してください。

甲状腺機能低下症の治療方法

ホルモン補充療法の基本

不足している甲状腺ホルモンを薬で補うのが治療の基本です。一般的にはレボチロキシンナトリウム(チラージンS)を内服します。この薬は強い薬ではなく、体内で作られるホルモンとほぼ同じ成分を補うだけのものです。適切に使用すれば、副作用の心配はほとんどありません。少量から開始し、数週間おきに血液検査を行いながら、その方に最適な投与量を決定していきます。

治療のゴールと服用期間

治療の目的は、血液中のTSH値を正常範囲内に保ち、辛い症状を消失させることです。数値が安定すれば、疲れやすさやむくみといった症状は劇的に改善します。橋本病による機能低下の場合、多くの患者様が長期的な服用を必要としますが、それは病気が治っていないのではなく、眼鏡で視力を補うように足りない分を補って健康な状態を維持していると捉えるのが適切です。

治療中の注意点

定期的な血液検査と用量調節

一度薬の量が決まっても、季節や体調、年齢の変化によって必要なホルモン量は変わることがあります。そのため、数ヶ月に一度の定期的な血液検査は欠かせません。また、鉄剤やカルシウム剤、一部の胃薬などと一緒に飲むと、ホルモン薬の吸収が妨げられることがあるため、併用薬がある場合は必ず相談が必要です。

よくある質問(Q&Aコーナー)

ライフスタイルに関する疑問

Q. 食生活(ヨード摂取)の注意点はありますか?

A. 日本人は日常的に海藻類(昆布など)からヨード(ヨウ素)を多く摂取しています。ヨードは甲状腺ホルモンの原料ですが、過剰に摂取すると逆に甲状腺の機能を一時的に抑制してしまうことがあります。橋本病の方はヨードの影響を受けやすいため、昆布の出汁を毎日大量に飲む、といった極端な摂取は控えたほうが無難です。通常の食事程度であれば神経質になる必要はありません。

Q. 妊娠・出産への影響はありますか?

A. 甲状腺ホルモンは胎児の成長に不可欠です。機能低下の状態のまま妊娠すると、流産のリスクが高まったり、赤ちゃんの成長に影響が出たりする可能性があります。しかし、薬でホルモン値を適切にコントロールしていれば、健康な方と全く変わりなく妊娠・出産が可能です。妊娠が判明した際は、通常よりも多くのホルモンが必要になるため、速やかに主治医へ相談し、薬の量を調整することが重要です。

Q. 薬は一生飲み続ける必要がありますか?

A. 甲状腺の細胞がどれくらい残っているかによります。慢性的な炎症で組織が萎縮している場合は、継続的な服用が必要になることが多いです。一方で、一過性の炎症が原因だった場合は、回復とともに薬を止められることもあります。大切なのは自己判断で中止せず、医師と一緒に「現在の甲状腺の体力」を評価し続けることです。

院長からの一言

健やかな毎日を取り戻すために

 甲状腺機能低下症は、ゆっくりと進行するため、自分では病気だと気づきにくい疾患です。「最近なんとなく元気が出ない」「歳のせいか疲れやすい」と感じている方は、一度甲状腺のチェックをしてみませんか?正確な診断と適切な補充療法によって、驚くほど体が軽くなるかもしれません。

 

きたむら耳鼻咽喉科クリニックは堺市東区、南海高野線初芝駅から徒歩2分の好立地、モール共用の駐車場、駐輪場を完備しています。WEB予約やWEB問診に対応した、通いやすさと利便性を兼ね備えたクリニックです。どうぞお気軽にご相談ください。

記事監修

北村貴裕
きたむら耳鼻咽喉科クリニック院長

略歴

2005年大阪大学医学部医学科卒業
近畿大学耳鼻咽喉科医学部講師、大阪労災病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科副部長、南堺病院耳鼻咽喉科非常勤医を歴任。
2027年5月きたむら耳鼻咽喉科クリニック開院予定

資格

  • 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科専門医・専門研修指導医
  • 日本耳科学会認定医
  • 厚生労働省認定補聴器適合判定医
  • 難病指定医

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