咽頭癌
咽頭癌とは|症状・原因・診断・治療を専門医がわかりやすく解説
咽頭の場所と役割
咽頭は、「鼻の奥(上咽頭)」「口の奥(中咽頭)」「喉頭の上(下咽頭)」の3つに分かれ、呼吸と飲み込み(嚥下)に重要な働きをしています。 咽頭癌とは、この咽頭の粘膜から発生する悪性腫瘍で、発生場所によって症状や治療法が大きく異なります。
咽頭癌の種類
咽頭癌は発生部位により、大きく以下の3種類に分類されます。
- 上咽頭癌:鼻づまり、耳閉感、頸部リンパ節腫脹が起こりやすい
- 中咽頭癌:のどの痛み、違和感、飲み込みづらさが特徴
- 下咽頭癌:声のかすれ、食べ物がしみる感じ、頸部リンパ節転移が多い
それぞれで早期発見の難しさがあり、耳鼻咽喉科での定期的な咽喉頭(いんこうとう)診察が重要です。
咽頭癌の主な症状
咽頭癌の初期症状は、“かぜ症状”と似ていることが多いため、注意が必要です。
初期は自覚症状が軽く、「長引く風邪」と間違われることもあります。次の症状が数週間以上続く場合は要注意です。
主な症状一覧
- のどの違和感、痛み
- 飲み込みづらい(嚥下困難)
- 声のかすれ(嗄声)
- 耳が詰まった感じ、耳痛(関連痛)
- 首のしこり(頸部リンパ節腫脹)
- 鼻づまり(上咽頭癌)
- 食べ物がしみる感じ、むせる(下咽頭癌)
これらは、腫瘍が神経や筋肉に影響することで起こります。
咽頭癌の原因と危険因子
咽頭癌の発症には、いくつかの原因と危険因子が関与しています。
喫煙・飲酒
喫煙と過度の飲酒は最大のリスク因子です。特に「飲酒+喫煙」が重なると、発症リスクは大幅に上昇します。
ウイルス感染
- HPV(ヒトパピローマウイルス):中咽頭癌で近年増加
- EBウイルス:上咽頭癌と関連
これらのウイルスが咽頭の粘膜に影響し、細胞が癌化することがあります。
その他の危険因子
- 遺伝的背景
- 食生活(塩分の多い食事)
- 慢性的なのどの炎症
- 仕事による粉塵吸入
これらが複合的に作用し発症につながります。
咽頭癌の診断方法
咽頭癌の診断には、専門的な検査が必要です。
耳鼻咽喉科での内視鏡検査
咽頭は奥まった構造のため、鏡では見えません。耳鼻咽喉科では細径内視鏡を使用し、上咽頭から下咽頭まで直接確認します。
画像検査
腫瘍の広がりや転移を評価するため、以下の検査を行います。
- CT:骨・腫瘍の広がりの評価
- MRI:軟部組織の詳細評価
- PET–CT:遠隔転移の早期発見に有用
病理検査(生検)
内視鏡で腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で癌細胞を確認する「病理診断」が必須です。これにより、癌の種類(扁平上皮癌など)が確定し、治療方針が決まります。
咽頭癌の治療方法
咽頭癌の治療は、部位や進行度によって異なります。
主な治療法
咽頭癌の治療は大きく次の3つです。
- 放射線治療
- 手術
- 抗がん剤治療(化学療法)
患者さんの体力・生活背景・腫瘍の広がりを総合して治療法を選びます。
放射線治療
上咽頭癌・中咽頭癌では、臓器を温存しながら治療できる利点があります。副作用として、粘膜炎・味覚障害・唾液減少などが見られることがあります。
手術治療
腫瘍の位置によっては経口的切除が可能です。下咽頭癌では、頸部からの手術が必要になることがあります。近年はロボット支援手術(TORS)も導入され、より低侵襲で治療できます。
化学放射線療法
抗がん剤を併用することで、放射線治療の効果を高め、臓器の機能を残す治療が可能になります。
咽頭癌の早期発見と予防
早期発見と予防は、咽頭癌の克服において非常に重要です。
早期発見のために
「のどの違和感が続く」「首のしこりが取れない」といった症状は、検査しないと区別がつきません。早期の咽頭癌は治療成績が良く、日常生活への影響も少なく済みます。
生活習慣の見直し
予防のために以下を推奨します。
- 禁煙
- 過度の飲酒を避ける
- バランスの良い食事
- のどを慢性的に刺激する習慣(激しい飲酒・熱い飲食物)を減らす
また、HPVワクチンは一部の中咽頭癌の予防に有効と考えられています。
まとめ
咽頭癌は、初期は症状が軽く、風邪と見分けがつきにくいことがあります。しかし、早期に診断できれば治療の選択肢が広がり、治療成績も高くなります。のどの違和感・痛み・飲み込みづらさが続く場合は、ぜひ一度耳鼻咽喉科を受診してください。
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